宮島口に渡る連絡船の駅から山側に歩いていくと、山から突き出したような黒い塊が見えてくる。
HOTEL FORK & KNIFE Miyajimaは、もともと企業の研修施設として新築されたものを今回のプロジェクトにてリノベーションされ、ホテルに再生されました。
もともと研修施設であったため、共用部が広く、客室も一人用の30㎡のみでしたが、今回のリノベーションでは、50㎡をメインとしたオーベルジュタイプのホテルとすることが求められました。
客室を少しでも増やすため、過剰にあったバースペースやジムスペースなども客室に転用し、不成形な30㎡の客室を拡張。
そうして34室ほぼ異なるプランとなったことは、設計の一番の悩みどころでした。





1Fにある、もともとホールだった大空間は客室面積180㎡のスイートルームへ生まれ変わりました。
開放的な内風呂の他、プライベートサウナ、露天風呂、ととのいスペースなど、温泉とサウナを存分に楽しめると共に、シェフズテーブルではシェフを招待して自分たちだけの食事を楽しむことも可能です。




今回のインテリアデザインは、Fumihiko Sano Studioとのコラボレーション。
基本的な方針を確認しつつ、プランニングや技術的な統括設計をキャンプサイトが担いました。
デザイン事務所とのコラボレーションは作業も増えますが、これまでにないデザインやブランディングが求められる場面においては、カルチャーの異なる事務所との取り組みは有効な方法だと考えています。
Fumihiko Sano Studioが得意としている伝統的な木を使った意匠を取り入れつつ、宮島にインスピレーションを受けた能舞台や提灯と言った要素がメインフロアを飾ります。
エントランスを入って最初に目に入るのが、吹き抜け空間を埋め尽くす19個の提灯。
直径1.5mの提灯を重ならないように、3次元で検討しての施工となりました。




今回のプロジェクトにおいて、重要な役割を果たすのが、火と水。
それは抽象的なものでなく、宮島という海の中に佇む鳥居や能舞台、提灯というインスピレーションの他に、宮島には火にまつわる神事も多いことから着想を得ています。
こうした背景をもとに、今回のホテルのサービスの柱になるのが薪火を使った料理です。
地のものをシンプルに薪火で焼き上げる薪かまや、食事の時間を楽しむ囲炉裏がその中心となります。
そして、宮島を望む最上階のスパには、サウナそのもの以上に大切な「ととのう場所」のしつらえであり、遠く宮島を望みながら、静かに過ごす場を提供しています。



