キャンプ場、野外活動施設、宿泊施設を運営したいという気持ちが芽生えたのが10年前でした。
大学院卒業後は設計事務所にはじまり、ディベロッパー、コンサルティングなど設計やディベロッパーという仕事に携わる中で、都会での仕事に限界を感じるようになってきていました。そんな中で、自然の中で自分しかできないことをやりたいと思いながら、友人と一緒に鎌倉のとある物件を見に行って、帰りの湘南新宿ラインの中でこんな話をしていたら、彼が「じゃあ会社の名前はキャンプサイトだな。」と。早速その場で調べてみたらまだドメインがオープンだった!そこで早速ドメインを取って、株式会社キャンプサイトが動きだしたのです。
「キャンプ場をやりたい」という漠然としたイメージをもちながらスタートしたキャンプサイトでしたが、会社をつくってから5−6年の間は、なかなか本来やりたいと思っていたような機会に恵まれませんでした。一方で、これまでの実績を生かしたリノベーションの仕事はたくさん依頼がきました。都心の使われていない不動産や建築を再生する仕事です。リノベーションとは、リフォームと異なり、単に表層を綺麗にすることでなく、新しい意味や役割を持たせながら建築を再生することです。例えば、古い住宅をオフィスに改装しするとか、使われなくなった社宅を若い人をターゲットにしたシェアハウスにすることなどです。今では当たり前になったリノベーションという言葉ですが、当時はまだ取り組んでいる人も少なく、リノベーションに特化して建物の利活用に取り組みました。
それは決して全てを新しくするということではなく、建物がもともと持っているいいところを最大限に引き出すこと、それを邪魔するものを取り除くこと、そして、ちょっとだけお化粧してあげること。古い建物を前にしたときに、そこにはリノベーションした後に生まれる賑わいがイメージできるようになりました。こうした経験が、古い建物を目の前にした時に何をやるべきかという感覚や、その建物がもつ本来の良さを丁寧に引き出すというもの見方が身についたと思います。僕らはこれを引き算のデザインと捉えて今でも大切にしています。